神様がキリストの誕生の知らせを最初に伝えたのは、
神様に仕える神殿の祭司たちではなく、
聖書の専門家である律法学者たちでもなく、
民の指導者である長老たちでもなく、
「夜、野宿しながら羊の群れの番をしていた」羊飼いたちでした。
当時、羊飼いは人々から蔑まれる職業だったと言われます。
獣や泥棒とも戦いながら、365日24時間
休みなく羊の世話をしなければならない羊飼いは、
安息日の律法を守れないことから律法の違反者と考えられ、
羊が畑の作物を食べてしまうことから盗人と見なされました。
相手が生きているのだから予定が立たないのが当たり前であり、
命に関わる働きなのだから突発的な出来事が起こるのが当然なのに、
裁判では証言することが認められないなど、
理不尽な扱いを受けていたと言われます。
愚直に、けれども真摯にいのちと関わる働きが軽んじられ、
スマートに手を汚すことなくお金を稼ぐことが賞賛されるようなあり方は、
どこか今の時代、今日の社会と重なります。
そうした時代と社会の中で、羊飼いたち自身もまた、
喜びと誇りとを持つことが難しくなっていたかも知れません。
そのような者たち、自信を失い、誇りを失い、喜びを失い、望みを失い、感謝と讃美とを失っている者たちのもとに、主の御使は遣わされるのです。
この天からの喜びの知らせをご一緒に聞きたいと思います。